鬼板とは、屋根の箱棟等、木造棟の端を覆う装飾性のある板のことを指します。また、瓦では古代の板状の薄い鬼瓦のことを指します。
鬼面が彫刻されていない鬼瓦も鬼板と呼ばれています。
一般的に「鬼瓦」と言うと、鬼面の有無に関わらず棟瓦の端部に付けられた役瓦を指し、鬼瓦に付される鬼のモチーフには魔除けの意味があるとされています。
形状は鬼の顔が彫刻されたものから、シンプルな造形の「州浜」や「陸」と呼ばれるもの、蓮の華を表したもの、さらには家紋や福の神がついたものなど、さまざまです。
鬼板のルーツは、パルミラにおいて入り口の上にメドゥーサを魔除けとして設置していた文化(ゴルゴネイオン)がシルクロードを経由して中国に伝わり、日本では奈良時代に唐文化を意識的に取り入れ始めた頃から全国に広がったとされています。
国内で最も古い鬼瓦と言われるものは、奈良県奥山久米寺のもので、蓮華文の様式から飛鳥時代後期のものと推察されています。
鎌倉時代に入ると、獣面や鬼面が数多くなったものの、まだ平面的な見た目だったと言われています。
しかし、室町時代になると二本の角を持つ鬼面が多くなり、足元や鰭(ひれ)と呼ばれる部分が出来たとのことです。
桃山時代からは鬼面がよりリアルな表情となり、足元が次第に発達しました。江戸時代に入ると、雲や植物、浪などを図案化したものが制作され、今日見るような鬼瓦の原型が完成したとされています。
鬼板の役目についてはさまざまな説があります。
・風雨に晒される箱棟の端部の補強(重さのある鬼板の使用)
・宗教的な理由(中央部に家紋を入れるケースがあります)
・魔除けの象徴
いずれにしても、鬼板を据え置くことで建造物が引き立ちます。
はるか古来より日本建築の素晴らしさを演出し、その外観は技術の結晶です。
鬼板の施工方法
屋根と箱棟の部位に木材で下地を入れ、そこに装着して取り付けます。屋根工事の最終の過程となります。
しかし鬼板を取り付けるためにはそれに準じたしっかりした棟を用意する必要があり、典型的な和風住宅のための付帯工事であり雨漏りに向けた性能も特別改善されるわけでもなく工事価格が引き上がり今では取り付ける家は減少しました。